2013年10月24日木曜日

年賀状のノルマと自爆営業による郵便局員の苦しみ

いよいよ今年も年賀のシーズンがやってきました。
郵便部内務の期間雇用社員の年賀状ノルマ(目標)は2000枚でした。(正社員は最低5000枚以上)

営業成績表が壁に貼り出されていて、その場所が出勤簿の置いてある机に近い為、出勤するたびに嫌でも目に付くので、期間雇用社員を含め郵便局員にとって毎年この時期は非常に鬱になります。

今年のノルマは2000枚で昨年と同じでしたが、電子メールの普及や最近の若者の関心が低いなど年賀状離れが進み、毎年前年比2%ずつ売り上げが減少している中、時代に逆行するかの如くノルマは年々少しずつ上昇しており、達成するにはより困難を極め、仕方なく自腹で購入するいわゆる自爆営業をしなければいけないのが実情です。ちなみに、2014年用(平成26)年賀葉書の総発行枚数は昨年と同程度の35.9億枚の予定で、強気というか無謀な設定ですね…。

追記:2014(平成26)年用年賀葉書の総発行枚数は、34億1596万通でした。

それに加え、自局内の他部署や特定郵便局なども同じ郵政グループでありながらライバル関係にあり競争が激しく、少ない顧客を巡って醜いパイの奪い合いを繰り広げています。実際にあった例は私の自宅のポストに宛先の違う年賀状予約チラシが2枚入っていたこともありました。先約があったりインターネット通販で買う人も増えたため、普通に営業活動をしていてはノルマ達成は厳しく、ほとんどの郵便局員は自爆営業を余儀なくされるのです。

自爆した年賀状を直接郵便局では返金できず、郵便局員の大半は発売と同時(毎年11月1日)に金券ショップへ持ち込み換金します。なぜ発売と同時なのか?それは、この時期が最も買取価格が高いから。ここ数年は売れ残りを懸念してか43円スタートが相場で、民営化以前はノルマが緩かったせいか45円以上で売れていた。大量に持ち込まれるので買取価格が下がるのも早く、12月になると需要をはるかに上回る供給によって金券ショップは嫌でも大量に在庫を抱えることになり、急速に値崩れを起こし30円台で買い叩かれるようになります。

ちなみに年賀状の種類は無地・インクジェット・ディズニー・いろどり等がありますが、買取価格は無地(普通紙)とインクジェットが高く、その他のは低くなることが多いです。枚数も4000枚完箱がいちばん高く、次いでほぼ差がなく200枚完封単位で、いずれも開封せずに持ち込むのがベストで、バラだと大幅に買取価格が下がります。

おまけ:2014年用(平成26)年賀状の金券ショップ買取価格調査報告
調査日4000枚完箱 最高/相場(平均)円200枚完封 最高/相場(平均)円
10月24日(予約段階)
44/43
44/43
11月1日(発売日)
44/43
43/42
12月1日
45/44
44/43
12月15日(差出受付開始)
44/43
43/42

今年は買取価格に異変が!12月に入った途端に値上がりし始めた。
金券ショップで安く買えるのが世間に浸透したのか、郵便局員が処分を恐れて持ち込まなくなったのか、全体的に品薄だったためか、20日くらいまで高値安定していました。

8月にはもう年賀状販売のことについて部長にミーティングで言われました。自爆営業が社会問題になったことは承知しているようで、「声かけするように」と遠回しに言ってくるだけでした。今年は例年に比べやけに早かったです。日本郵政はそこまでして売り上げが伸びるとでも思っているのか?近年の情勢から前年割れを起こすのは明らかだと思いますが…。8月に年賀の声かけしてもお客様は皆相手にすらしてくれません。

私は昨年家族や親戚、友人、知人すべてに声かけしましたが断られることが多く、売れたのはたったの100枚ちょいでした。断る理由は、時期的な要因として10~11月だと「まだ早い」と言われ、12月半ばにようやく売れ始めました。次に、よくある否定的な意見を要約すれば「近くの郵便局でほしい時に買う」。まぁ、要するに手間がかかって面倒だということですね。よく「安く売ってくれ」と頼まれますが、値引き販売はコンプライアンス違反になるのでNGです。さらに驚いたのは、「金券ショップで安く買う」回答した方が散見された。TVや新聞の報道で年末に金券ショップに年賀状の箱が山積み状態な光景を目の当たりにし自爆営業の実態がここまで世間に浸透しているのは意外で、中には「自爆はかわいそうだから協力してあげる」と私をあわれむ方もおられました。

どうすればノルマを達成できるのか?方法は、頼りになるつてがない限り自爆で賄うしかありません。確かに年賀状は声かけすればある程度は売れますが、それでも普通の人でせいぜい数百枚が限度です。どうがんばっても郵便局でいちばん少ないとされる内務期間雇用社員の目標2000枚には遠く及びません。強いて言うなら人付き合いを大事にし信頼される人間になり交友関係を広げるのが成功のコツでしょうか。普段お客様との接点がない内務の人間には難しいかもしれませんが。

私は無理矢理自爆して金券ショップに売ったりせず声かけするだけにとどめております。幸いにも今までノルマ未達でも給料を下げるといったペナルティはありませんでした(もっとも、上がることもないようですが)。さすがに0枚だと反省文を書かされます。完全に達成すればよいかは局や部署にもよるかもしれませんが、うちの郵便部はかなり恵まれた環境のようで、これが健全な在り方だと思われますが、実は自爆したり値引き販売や勤務時間外の営業活動はそもそもコンプライアンス違反にあたり違法行為なのです。それを黙認し我々の給料は郵便局の利益に還元され実質的な減給による負担が大きく、内務、外務、役職を問わずほぼすべての社員が苦しんでいるのが現実で、世間からブラック企業に認定されるのも無理はありません。

なぜ年賀状の自爆営業はなくならないのか?その理由は郵便局の収入の大きな割合を占めるからで、多く販売するのは当然ですが、1枚につき5円の交換手数料も大きな利益になります。金券ショップは販売期間(1月10日)を過ぎると売れ残った大量の年賀状を郵便局に持ち込んで切手や通常はがき等に交換します。だからいくら金券ショップといえど郵便局にとっては大切な顧客なのです。年賀状の総差出枚数を元旦配達分の数しか日本郵政は公に公表しておらず不透明な部分はありますが、元旦以降の配達分を含めると20億枚台前半だと云われています。仮に10億枚が交換されれば手数料の利益は50億円に…。おそるべし郵便局ブラック企業!だから自爆営業はなくならないわけです。

追記:2014年(平成26)の年賀郵便物元旦配達物数は、18億2900万通で前年比96.2%でした。2013年(平成26)は19億0900万通。

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